しかしだんだんとわかって来た。人間はこの世の中に、うまいものを食いに来たんでもなけりゃ、好い着物を着に来たんでもなけりゃ、恋をしに来たんでもねェんだ。それは生きる場合の、ロイヤルロードの道筋にある出来事で、この世に万物の霊長と生れ来しゆえんのものは、エレベーション(高める)という、造物主の目的に順応するためだ。
『天風先生座談』 宇野千代
中村天風氏といえば、各界に門下も多い傑出した人物であったが、
その昔、結核に苦しみ、出会ったインドの聖人について渡印、
来る日も来る日も山の頂に座るだけの中で悟った場面
だったと思う(違ったらすみません)
かなり以前に、これを読んで印象に残り、その後
天風氏の書物もいくつか読んだ時期もあったが、
やはりこれは、講話をまとめたのが、
宇野千代さんによるもので
とても読みやすく、
興味を惹かれる内容の物語になっていて、
おすすめの一冊です。
単行本は、確か、
宇野千代さんによる洒落た装丁の本だった
ように覚えているが、
後に今は、文庫が出ているようです。
懐かしいくらい前に読んだ本で、
これは、当時の書き抜きを見つけて
こちらに載せた次第…。
ただ、明けても、暮れても、有難い、嬉しい、でもって送れる筈だけれども、あなた方の煩悶は、たいてい、自分が望むものを得られないときに起こって来るんだ。そうだろうが。自分の欲望がみたされないときに、必ず煩悶が起るんだ。自分に甲斐性がなくて、それを自分のものに出来ないときに、それで煩悶するてェのは、なんてェこった。一番いいことは、もしも自分の望むものが自分のものにならなかったら、現在持っているものを価値高く感謝して、それを自分のものにしてゆきなさい。
こういう心がけで自分の人生に生きてゆくと、心の中に煩いというものがなくなっちまいます。何事に対しても、現在感謝。ああ、有難い。
……俺の心の中は、永久に、喜びと感謝でいっぱいなんだ、という気持ちで生きてゆかれれば、その結果、どうなるか。事実がきっと、あなた方に大きな幸福という訪れでもって、お応えすると思います。
クリックしてね♪
ありがとうございます!